『入浴福祉新聞 第7号』(昭和59(1984)年4月25日発行)より
過去の入浴福祉新聞に掲載された記事をご紹介します。
発行当時の入浴や福祉等の状況を少しでもお届けできたら幸いです。
水と人間 その5
立井 宗興
人間の皮膚は、表皮と真皮からできていて、その下に皮下組織がある。
この皮膚の厚さは身体の部位、年齢、性別、そして人種などによってかなり異なるが、
日本の平均的成人は1.3~3㎜だ。面積では平均1.6㎡、重さなら4㎏である。
表皮と真皮を比べると、前者の方が薄く、後者の方が厚い。割合でみると表皮の5%に対し、
真皮は95%である。
だから、人間の皮膚で一番薄いまぶたでは表皮部分が約0.06㎜しかなく、最も厚いかかとでも、
表皮は0.4~0.5㎜しかない。
動物の皮を製品にする前の物を見ると、表皮は薄く、裏はザラザラだが、それと似たようなものと思っていい。
この薄い表皮は、表皮細胞と色素形成細胞が重なり合ってできていて、同じ日本人でも皮膚の色が違うのは、
表皮色素メラミンの量が多いか少ないかで、色黒か色白かが決まってくる。
表皮の層をさらに細かく分けると、角質、角層、有層、基底層の4つになる。
角層は皮膚を保護する役目を果たし、肌の手入れをするのもこの部分だ。
基底層と有層で作られた新しい細胞は、次第に皮膚の上部へ押しやられ、争層に達する。
これを争質化または角化と称していて、このサイクルは14日である。
さらにその細胞は生命力を失って皮膚の表面で角片となる。これも14日サイクルである。
この角片のことを垢と呼んでいるのだが、寝たきり老人の体からパラパラと落ちる皮膚は、
生命力を失った皮膚細胞に他ならない。
※発行当時の原稿のまま掲載しております。何卒ご了承の程お願い申し上げます。
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